出産後、ホルモンバランスの影響で生理が来ない期間が数ヵ月続く人もいるはずです。その間、生理が無いから妊娠する心配も無いと、思っていませんか。
しかし、授乳中でも生理が始まる人もいます。排卵が起きていない場合もありますが、そのタイミングは自分自身で排卵検査薬などを使用していない限り分かりません。
この前までは大丈夫でも、いま排卵が起きている可能性もあるのです。
つまり妊娠の可能性があるので、しばらく避妊することを考えている人は授乳中であっても妊娠しないように対処するのは大切です。
効果が高くて簡単なピルでの避妊をしようと考える人もいますが、女性ホルモンを変化させるピルを授乳中に飲んでも問題ないのでしょうか。母体や子どもにもたらす影響をみてみましょう。
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ピルが避妊効果を持つ理由
低用量ピルもアフターピル(アイピル)も、有効成分として女性ホルモンと同じ働きをする成分が含まれています。
人工的に女性ホルモンを体内に取り入れるので、必然的にホルモン量が増えます。すると妊娠している時と同じようなホルモン量になるので、自身でのホルモン分泌が抑えられます。
低用量ピルを常用することで、妊娠状態が維持されているような錯覚を起こすので排卵抑制や受精卵の着床阻害効果が発揮されるのです。
アフターピルはさらに多いホルモン量を含んでいるので、1回の服用で急激なホルモンの吸収と吸収終了が起こります。
これが、生理開始時の卵胞ホルモン分泌停止と同じ働きをするので、子宮内膜が成熟途中であっても強制的に生理を起こすことができるのです。
また、排卵前であれば排卵抑制効果も働くので、低用量ピルのように高い避妊効果を得られます。
授乳中にピルを服用した場合の影響とは
初産の後や経済面・環境面を考慮して、しばらくは妊娠しないようにしたいと思う人は少なくないでしょう。
そんな時ピルを利用したことがある人は、すぐに飲み始めて備えたいと言う人もいるはずです。
しかし、低用量ピルであってもアフターピルであっても人工的に女性ホルモンを体内へ取り入れることに変わりありません。
そんな女性ホルモンが、授乳などをしていれば直接的に母乳や赤ちゃんに何らかの影響が無いか不安になってしまいます。
実際、授乳中にピルを服用した場合にどんな影響が考えられるのか知っておきましょう。
ピルを飲むことで母乳に変化はあらわれる?
出産後、授乳の経験が今までにある人は分かるかもしれませんが、母親が摂取した栄養分を中心に薬の成分も母乳に移行するのです。
このことから、ピルに含まれる人工的に作られた女性ホルモンも母乳に影響します。
そして関係性は複雑でもあり、その影響によって母乳が出にくくなるとも言われているのです。
もちろん個人差はありますが、特に低用量ピルに含まれるエストロゲンが乳汁分泌抑制の働きをしてしまう場合があります。
ただ、ピルに含まれるすべてのホルモンがそのまま母乳に移行する訳ではありません。食物の栄養素が吸収される時のように分解されて、血液中から乳腺に届くので他の薬同様にほぼ無害なレベルまで成分が薄くなるとも言われています。
最終的にピルの成分が吸収されるのは、服用量の0.02%に相当すると考えられていて、影響が無いとも言えます。しかし、赤ちゃんは母乳で育つので全く影響が無いとも言い切れません。
授乳中のピル服用は、母乳が出にくくなったり薬の成分が含まれていたりと少なからず変化してしまうのです。
授乳中のピル服用について
出産後、避妊に失敗してどうしても今、妊娠するのは困るという理由からアフターピル(アイピル)を飲んだ時について注意点があります。
アイピルなどのアフターピルはホルモン量が多いと言っても、1回だけの服用で済むので母乳に対しては大きな影響は無いとされています。
しかし、その成分も母乳に移行はするので服用後、24時間は母乳を控えた方が良いでしょう。
そして、低用量ピルに関しても母乳への影響もありながら、母体へも血栓症が起こりやすくなる服作用もあるので、出産から6ヵ月が経つまでのあいだ服用は禁止されています。
胎児の黄疸が長引く可能性あり!?
産まれたばかりの赤ちゃんに黄疸(おうだん)があるのは、ごく普通のことです。生後3日~2週間前後で改善されるはずの黄疸があらわれる期間を、ピルが長引かせてしまう可能性があります。
その原因には、ピルに含まれるエストロゲンが関係しています。もし母乳に多量のエストロゲンが移行して赤ちゃんがそれを摂取してしまうと、肝臓の酵素の力が弱くなります。
酵素の力が弱まると、肝臓の働きが悪くなるので黄疸の原因となる、ビリルビンという成分の排出が遅れてしまいます。
このようにビリルビンの排出が遅れて、体内に蓄積されてしまうと黄疸が長引くとともにビリルビンが有毒化します。
すると、脳神経細胞を壊していく「核黄疸」という病気を引き起こす危険性が高まります。
早期で発見することが出来れば回復が見込めますが、遅れると脳障害や最悪の場合、命の危険もある病気です。
黄疸が長引くことは、赤ちゃんにとって危険なので注意が必要になります。その原因に、ピルの服用が影響する可能性があるのです。
授乳中にピルで避妊するのはやめた方が良い
人工的に女性ホルモンを摂取することで避妊効果を得る方法なので、授乳中にピルを服用した場合は母乳や赤ちゃんへの影響が考えられます。
その為、赤ちゃんの成長や健康状態への悪影響につながってしまう可能性があるので、授乳中のピル服用での避妊は止めた方が良いでしょう。
その方法以外に、コンドームと避妊リング(IUS・IUD)などの併用をする避妊方法もあります。
授乳中に避妊を考えている人は、ピル以外の避妊方法を選ぶか避妊を機に授乳自体を止めるか検討することをおすすめします。
どうしてもピルでの避妊を希望したい場合には、産後6ヵ月以降なら対応出来る場合もあります。ただし、使用できるピルの種類も限られる場合もあるので、絶対に医師へ相談するようにしましょう。